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〜変形性膝関節症について〜

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「身体を整えて」から「動く」ことで「コンディショング、ライブパフォーマンス」を高め、快適な毎日を過ごせるように、セッションをご提供しています。

・本記事から得られるもの、理解できる事

〇「変形性膝関節症」について理解できる

〇「変形性膝関節症」を予防する方法が分かる

それでは、さっそく解説していきます!

こんにちは、Basisの新田です。

 今回は以前、書かせて頂いた「膝痛に関して」という記事を深掘りするような形で変形性膝関節症について皆様に少しでも分かりやすく伝わるように記事を書いていけたらと思います。今回も論文やデータを中心に解説していきたいと思います。

 改めて変形性膝関節症の定義について復習しておきましょう。アメリカリウマチ学会診断・治療基準委員会によると「関節軟骨の欠損的整合性に関連した関節症状や兆候へと導く状態の混成グループであり、付け加えて関節周囲の下層の骨の関連した変化である」とされています。このことから、変形性膝関節症は関節軟骨の変化だけではなく、関節周囲の組織を含めた変化から構成されていると考えられます。

 そして膝関節を構成するのは、「骨・関節軟骨」「関節包・滑膜・滑液包」「半月板」「靭帯」「筋・腱」「脂肪体」「神経」など様々な要素から構成されていました。これらを踏まえた上で次からは変形性膝関節症の病期分類について解説していきます。

変形性膝関節症の診断は、問診・視診・触診・徒手検査などを踏まえて、単純X線検査(レントゲン検査)によって行われることが一般的であり、1950年代から提唱されている「Kellgren-Lawrence分類(K-L分類)」が世界的にも広く用いられています。

図1.K-L分類の詳細

詳細は上図にまとめていますが、K-L分類では関節裂隙の狭小化や骨棘形成の程度を指標にされていて、Grade2以上が変形性膝関節症と診断されます。そして、Grade3以上になると人工膝関節単置換術(UKA)や高位脛骨骨切り術(HTO)、人口膝関節全置換術(TKA)といった手術療法を適応されるケースも増えてきます。ですが、手術の適応に関しては本人の自覚症状や生活習慣を考慮して決定されるため、目安の1つとして考えてください。

図2.変形性膝関節症のイメージ

 図1で登場した専門用語を1つずつ簡単に解説していきましょう。まず、骨棘や骨硬化とはレントゲン検査において正常な例では見られない、骨のトゲが確認されることがあります。また、骨の硬さに変化がある場合は正常なレントゲンと比較して骨の濃淡に差が生じます。なぜこのような変化が生じるかと言うと、ヒトの身体において慢性的なストレスがかかる部位は「骨を増やして抵抗する」または「骨を強くして抵抗する」といった特徴があります。

次に関節裂隙の狭小化についてです。関節裂隙とは膝関節においては大腿骨(太ももの骨)と脛骨(スネを構成する骨の1つ)の間を指す言葉です。ヒトの身体にはたくさんの関節が存在し、例えば股関節における関節裂隙は大腿骨と骨盤が関節裂隙と表現されることになります。ほかの関節に対しても応用が利くので、興味がある人は覚えておいても良いかと思います。

少し本題から逸れてしまいましたが、関節裂隙の狭小化とは関節と関節の間が狭くなった状態です。裂隙の狭小化によって、関節にかかるストレスは増大します。それによって、歩行をはじめとした日常生活における負担が増えることで、さらなる関節の変形が惹起されることに繋がります。これに関しては、後ほど紹介する論文から詳細を解説させて頂きます。また、変形性膝関節症のリスク因子として、代表的なものは加齢・女性・肥満が報告されています。この因子で唯一努力して対応できるのは、肥満ではないでしょうか。

 肥満を改善しない場合に起こる1つの例を紹介しましょう。歩行時にかかる膝関節への負担を調べてみると、平地で体重の3~4倍、階段昇降で6~7倍の負荷が膝にかかると言われていて、例えば体重が3kg増えたとしましょう。そうすると、歩行時には約9kg、階段昇降においては約18kgの負荷が今までよりも膝に加わるようになるということです。

「最近、体重が増えてきたなー・・・」と感じている人は食事や運動など、どんな方法でも良いのでまずは体重の管理をすることによって、膝の痛みを軽減することに繋がる可能性がありますので、ぜひ試してみてください。

それでは改めて、変形性膝関節症がある場合に生じる負担の増大について、歩行における膝のモーメント(回転力)を調べた論文を元に解説していこうと思います。まず初めに変形が無い人と変形がある人では、膝にかかるモーメントに特徴的な傾向がありました。

まず健常群(変形が無い人)では、立脚初期(踵が地面に接地した瞬間)に膝関節外反モーメント(膝が外に倒れる力)が最大となり、立脚中期(片足立ちになった瞬間)に減少し、立脚後期(つま先が離れる瞬間)に再び増加するという変化が生じます。一方、膝の変形がある群では立脚初期の外反モーメントが大きく、さらに立脚中期において、外反モーメントの減少が見られないといった傾向がみられていました。

上記の表現では理解しにくい部分だらけだと思いますので、簡単にかみ砕いて表現すると変形が無い人よりも変形がある人の方が、歩く度に生じる膝が外側へ倒れようとする力が大きくなる→それによってさらに変形が進みやすい状態になると考えて頂ければ良いかと思います。つまり、「変形がある」と診断された方で体重が標準以上と指摘されている場合には、今すぐにでも体重の管理を始めることをお勧めしたいです。

 そして最後の論文は歩行以外の運動における、股関節と膝関節の関節軟骨に対する関節負荷がどの程度かを調べた論文から、どのような運動がオススメなのかを解説していきたいと思います。

図3.活動後のMRI軟骨の厚みと体積、および組成の変化率

図3において、膝にかかる負担はオレンジ色で表現された部分になります。こちらの論文では、歩行・スクワット・ホッピング・サイクリングなどの結果が記載されていますね。歩行においては、変形のリスクがある・無い人の比較も乗っていて先の論文と同様に変形のリスクがある人にかかる膝への負担は変形がない人よりも高いようです。 

この論文を元にすると、1番負担が少ない運動はサイクリングだと分かります。そのため、膝の変形がある・無いどちらにおいても膝への負担が少ない運動は、自転車運動がオススメとなります。これに関しては、自転車のサドルにまたがることで上半身の負担が軽減されることで膝関節にかかる負担が軽減することで、今回のような結果が得られるのではないかと思われます。

 いかがでしたでしょうか。今回は変形性膝関節症という皆様も1度は聞いたことがあると思う病気について書かせていただきました。おそらく、皆様が今まで思っていたよりも体重の管理が痛みの軽減につながる可能性があることが理解できたかと思います。この記事が少しでも変形性膝関節症を理解する手助けになれば、幸いです。

当施設ではマシンピラティスを中心にエクササイズを実施し、栄養学を元にした栄養指導も行っているため、ぜひお気軽に相談してみてください。今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。

 Basis~からだのメンテナンススタジオ~ 新田

参考引用文献

1)医療法人一隆会大道整形外科のページより:https://www.omichiseikei.com/news046.html

2)河治 勇人:歩行立脚初期の膝関節矢状面動態変化が膝関節負荷に及ぼす影響

3)Sally L Coburn, Kay M Crossley et al: Immediate and Delayed Effects of Joint Loading Activities on Knee and Hip Cartilage: A Systematic Review and Meta-analysis.: Sports Med Open.: 2023 Jul 14;9(1).

山下 敏弘(Yamashita toshihiro)
山下 敏弘(Yamashita toshihiro)
理学療法士
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