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〜睡眠に関して〜

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「身体を整えて」から「動く」ことで「コンディショング、ライブパフォーマンス」を高め、快適な毎日を過ごせるように、セッションをご提供しています。

・本記事から得られるもの、理解できる事

〇「睡眠」について、ある程度理解できる

〇「睡眠」に向けた準備の重要性が理解できる

〇「睡眠」と「食生活」の関連性が理解できる

それでは始めていきましょう!!

こんにちは、Basisの新田です。

 今回は睡眠について、皆様に少しでも分かりやすく伝わるように記事を書いていけたらと思います。今回も論文やデータを参考にしながら、睡眠と食生活の関係まで解説していきたいと思います。「睡眠が大事っていうのは、こんな記事を読まなくても知っている」「仕事も家事もやることがたくさんあって、睡眠時間を削るしかない」など色々な声が聞こえてきそうですが、この記事を読んだあとは自分が思っている以上に睡眠時間を確保する必要性が理解できると思います。

 はじめに、この記事を読んでいる皆さんに考えて頂きたいのですが1日の平均睡眠時間はどの程度取れているでしょうか。厚生労働省が出している国民健康・栄養調査によると平均睡眠時間が「6時間未満」と答えた人が男女ともに約4割であると報告されています。また、健康日本21という厚生労働省が打ち出している健康施策において、睡眠による休養が取れていない人の割合を15%以下にすることが目標に定められていました。しかしながら、睡眠による休養が取れていない人の割合は約20%前後で推移しており、年々上昇傾向が見られています。

別のデータになりますが、経済開発協力機構(OECD)のGender Data Portalによると33ヶ国(OECD加盟国+中国、インド、南アフリカ)の睡眠時間を調査した結果、日本は世界1睡眠時間が短い7時間22分でした。33ヶ国の平均睡眠時間は8時間28分であり、平均で見ても睡眠時間が約1時間短いということが分かります。

そして、もう1つシドニー大学を中心とした「世界20ヶ国を対象とした平日の総座位時間」に関する調査では、日本は7時間でありサウジアラビアと同率1位という結果でした。これだけ見てみると私たちの睡眠時間は世界的に最も短く・疲れを自覚している人も多いと分かります。さらには、座位時間も世界1長いということも分かりました。

国立睡眠財団(National Sleep Foundation)の発表しているデータによると、18~64歳で7~9時間、65歳以上の人で7~8時間の睡眠時間が推奨されていました。そして、50歳以上では6時間以下の平均睡眠時間になると認知症のリスクが高まると考えられています。

ここまでの段階で数字が多く出てきたので簡単にまとめてみましょう。(1)日本人の平均睡眠時間は世界で1番短い(2)50歳以上では6時間以下の睡眠時間では認知症のリスクも高くなる(3)平均の座位時間も世界1長いということが分かりました。

上記までで日本における睡眠の現状をまとめていきました。「やっぱり今日から睡眠時間をしっかり確保しようかな・・・」と少しでも思っていただけたのではないでしょうか。では次からは睡眠の効果とメカニズムについて確認していきましょう。まずは睡眠の効果です、①体温調節、ホルモン分泌、記憶や感情の整理②自律神経の調整、酸化ストレスの除去、細胞の修復(抗炎症作用)などに関係していると言われています。現在も睡眠に関して研究は進められていますが、「人はなぜ眠るのか」については分かっていない部分もまだ多いようです。

次は睡眠のメカニズムについて確認していきましょう。睡眠のメカニズムとして、脈拍、血圧、体温の低下が生じる→身体にとって睡眠の準備ができ、眠気を誘う睡眠ホルモン(メラトニン)の合成が始まり徐々に睡眠圧が高まる→入眠に至るというのが簡単な睡眠のメカニズムになります。この睡眠ホルモンを効率良く合成することができれば、睡眠を改善することに繋がりそうですよね。

それでは改めて睡眠に必要なメラトニンを合成するためには、準備が必要だということを解説していきたいと思います。「睡眠のために準備が必要ってどういうこと?」と思う人も多いと思いますので順を追って説明していきます。

はじめに睡眠の準備と言われると皆さんはどのような事を思い浮かべるでしょうか。例えば、スマートフォンやパソコンなどのブルーライトを見ないようにする、寝る直前の食事・コーヒーを避けるなどは良く聞く話かと思います。もちろん上記も非常に重要ですので、これらを実践している皆様は今後も継続していくことが大事です。しかし、今回取り上げるのはもっと前の時間、つまり日中の過ごし方や食事も準備の1つになるということを説明していきます。

睡眠にはメラトニンが重要であるということを先に説明させていただきましたが、このメラトニンというホルモンがどのように、身体で合成されるのかを解説していきたいと思います。このメラトニンはアミノ酸の1種であるトリプトファンを原材料にして脳内で作られます。つまり、アミノ酸の集合体であるたんぱく質を摂取することが大事なのです。そしてタンパク質を分解しトリプトファンからメラトニンまで消化・吸収するためには、大前提として消化のために胃酸の分泌が十分にできる状態にすること。さらにはビタミンB群、葉酸、鉄、マグネシウムなどを摂取することが大事になります。

メラトニンの合成にはたんぱく質を摂取することが重要と分かりましたが、それだけでは不十分です。さらに大事なのはメラトニンを合成するにはインスリンの分泌が必要なため、糖質(グルコース:白米、パンなど)を摂取する必要があります。インスリンが分泌されることによって、トリプトファン以外のアミノ酸を筋肉へ優先的に輸送することが可能となるため、結果としてトリプトファンが脳内に届きやすくなるため、糖質の摂取が重要になるということです。つまり過度な食事制限をしている方は睡眠に問題を生じる可能性があるため、「ダイエットをしはじめたけど、寝不足が続いている」などの症状がある場合は、糖質を含めた栄養不足からくる睡眠の問題を考える必要があると思います。

図1.メラトニンの合成機序

そしてメラトニンの前駆体である、別名「幸せホルモン」と呼ばれることもある「セロトニン」は咀嚼や歩行、サイクリングなどをはじめとしたリズム運動により、血中や尿中のセロトニン濃度の上昇がみられたという報告がされています。さらに、メラトニンの分泌リズムを作り出すのは体内時計と光が関係すると言われています。

この体内に備わっている24時間の時計(サーカディアンリズム)に合わせて私たちの細胞はホルモンを分泌したり、細胞分裂を行ったり、上記でも説明したようなタンパク質の合成が行われます。つまり体内時計が統一されていなければ、脳は起きているけど胃腸は休んでいるといった、体内活動に不一致が生じます。私たちの時計はずっと起きている状態でいると少しずつ時間のズレが大きくなってしまうということです。

この時計を調節する方法は視交叉上核という組織が担っており、これを活性化するためには網膜から入る光によって調節する必要があります。ここで出てきた”光”はどんな光でも良いのかという疑問が出てくるかと思いますので、1つの例を出してみましょう。明るさの単位はルクスというもので表現され、電灯は500ルクス以下、太陽光は10000ルクス以上で明るさが桁違いなのです(そしてセロトニンの分泌には2500~3000ルクス以上が必要とも言われています)。

図2.サーカディアンリズム

睡眠の効果とメカニズムの解説も長くなってきましたので、少しまとめていきましょう。睡眠の効果は(1)体温調節、ホルモン分泌、記憶・感情の整理、体内リズムの調整(2)自律神経の調整、酸化ストレスの除去、細胞の修復(抗炎症作用)などに関係している。

睡眠のメカニズムは(1)メラトニンの合成が重要(食事との関連性もある)(2)そのためには、太陽光を浴びて体内時計をリセットする(3)信号が全身に伝えられ、1日の始まりを認識することで睡眠に向けた準備が始まるというサイクルが行われています。

いかがでしたでしょうか。今回も内容が盛りだくさんになってしまいましたが、ここまで読んで頂いた皆様の睡眠が少しでも良いものにする参考になればと思います。最後まで読んで頂きありがとうございました。

Basis~からだのメンテナンススタジオ~ 新田

参考引用文献

1)令和4年国民健康・栄養調査結果の概要:pp.18

2)荒木 邦子,岡 浩一郎:「座りすぎ」ていませんかより

3) National Sleep Foundationより:https://www.sleepfoundation.org/sleep-faqs/is-6-hours-of-sleep-enough

山下 敏弘(Yamashita toshihiro)
山下 敏弘(Yamashita toshihiro)
理学療法士
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