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〜バランスについて〜

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身体を整えて」から「動く」ことで「コンディショング、ライブパフォーマンス」を高め、快適な毎日を過ごせるように、セッション(手技×マシンピラティをご提供しています。

・本記事から得られるもの、理解できる事

〇「バランス」について理解できる

それでは、さっそく解説していきます!

こんにちは、Basisの新田です。

 今回はバランスについて皆様に少しでも分かりやすく伝わるように書いていけたらと思います。今回も書籍やデータを参考にしながらバランスというものが、いろいろな要素から構成されているということを解説していきたいと思います。

皆様も1度は「バランスが悪い」という言葉を聞いたことがあると思います。バランスが悪いと一言でいうものの、バランスとはいったい何なのかと問われると皆様、言葉に詰まるのではないかと思います。また、皆様がパッと思い浮かぶのは平衡機能(例えば、片足立ちが何秒出来るのかなど)を思い浮かべると思います。

 1つの書籍において、バランスは空間的な調節(スペーシング)を指し姿勢反射や平衡機能を含めた身体の安定性を通して動作の遂行性を保証している。ここでいうバランスには静的姿勢保持力のみならず動的運動における側面を含んでいる。またバランスの要素は重力への適応を主たる目的として、狭義の平衡機能に加えて骨アライメントや筋力を含めた多くの要因を必要としていると示されている通り、バランスという言葉自体が複数の要素を絡めた考え方になるということが分かります。

 この書籍の中ではバランスの要素として、①骨・関節アライメント②内分泌(ホルモン)③自律神経(血圧・血流)④脊髄反射⑤平衡反射(姿勢反射)が挙げられ、さらに機能性の要素として⑥方略の選択⑦予測⑧筋力⑨平衡機能⑩持久性も記載されていました。ここまで並べてみると初めて聞く言葉や理解が難しい用語もあると思いますので、私自身がバランスというものを考える上で特に大事だと考えている用語について解説していこうと思います。

 まず①骨・関節アライメントですが、これは何となく言葉の並びで皆様も想像がつく部分があるかと思いますが、骨や関節の配列の事です(簡単な表現として積み木をイメージしてみて下さい)。1つの例としてですが、図1で示すような高齢になり腰が曲がってしまった円背という姿勢の方と、図2で示した部活動などで常に運動している若年者の姿勢を元に解説していこうと思います。

図1.円背のイメージ

図2.若年者のイメージ

 この2人に片足立ちでバランスを取ってもらうとしましょう。図1の方は何とか積み木が積み上げられた状態に比べて、図2の方は積み木に余裕がある状態を想像しやすいと思います。この部分に関しては私たちの力で変化を加えることが難しい部分です。例えば、図1の方に対して「背中をまっすぐ伸ばして」「膝を伸ばして」と言った指示を出したとしてバランス良く立つことが出来るでしょうか。私個人の意見が多いに含まれてしまいますが、そのような指示をしたとしてもバランス良く立つことは難しいと思います。

図1の方の場合、腰が変形してしまった状態に合わせた立ち方(後ほど紹介する平衡反応・方略の選択・筋力も関係します)をしているでしょうし、そのような人に無理やり姿勢だけを意識させたとしても、見かけ上キレイな片足立ちになるだけで努力性が高く実用性の低い動作になると思います。もちろん図2の方であっても同様の結果が返ってくる可能性はありますが、図1の方と比べると骨・関節のアライメントを良い状態にする(積み木で言えば、少しズレている場所を組みなおすことが出来る状態)余力があるため、バランスを取りやすいのではないかと考えられます。

それでは続けて⑤平衡反射(姿勢反射)、⑥方略の選択、⑧筋力を絡めた部分を解説していこうと思います。はじめに平衡反射についてですが、この反応は乳幼児でも見られる姿勢が崩れそうになった時に生じる反応になります。一例になりますが、電車に揺られているところから電車が急停止した場合を考えてみましょう。

図3.電車内での出来事

 このような場面において平衡反射が出なければ、身体は進行方向に向かって倒れこむことになってしまいます。先ほど説明した電車が急停止した場面では、私たちは進行方向へ倒れないように足を踏みしめたり、素早く足を踏み出したりする反応が生じることで転倒することを防いでいます。乳幼児の場合ですと座って手遊びをしている状態から、前方や側方に向かって転びそうになった時に手を床に着くなども反射の一例になります。

 この反射1つとってもいくつか種類があるため、それについて解説していくとそれだけで相当な量になってしまうので今回の記事では割愛させていただきますが、この反射に関係する要素として視覚と前庭機能(三半規管、耳石器)は重要になってきます。

視覚の一例として、スケートリンクの中で歩くことをイメージすると分かりやすいかと思います。よっぽどスケートリンクに慣れた人でない限りは平地と同じような歩き方は選択しないですよね。視覚情報からスケートリンクが不安定な場所であると予想・理解できるため、例えば膝を曲げたり腕を大きく広げたりすることでバランスを取ろうとすると思います。そして前庭機能についても簡単にですが解説させて頂くと、頭がどの方向に動いたかを感知するという役割があります。上記のようなスケートリンクが不安定という視覚からの情報を正確に取り入れ、頭が上下・左右どの方向に動いたかを感知し適切な平衡反射を用いてバランスを保つという反応が私たちの身体では起こっています。

そして最後に方略の選択と筋力ついて解説していきます。筋力は皆様も想像がつきやすい部分だと思いますが、この方略の選択という言葉に関しては全くピンとこない人が多いのではないかと思いますので、こちらに関しても先ほどのスケートリンクでの場面を思い浮かべてみましょう。

 一例としてスケートリンクに慣れた人と慣れていない人に、それぞれのペースでリンクの上を歩いて貰うとします。もちろん慣れている人の場合は平地とほぼ変わらず歩くことが出来ると思いますが、それでも平地と比べれば膝を軽く曲げた状態になることが想像できます。そして、慣れていない人の場合は大きく腰を引く(股関節を曲げる)さらには膝も大きく曲げて立っているのがやっとという状態が想像できるかと思います。この違いが方略の違いそのものとなります。

 前提として方略には3種類あり、股関節・足関節・足踏みがそれぞれ存在します。股関節・足関節方略についてはその名の通り、股関節や足関節を動かすことでバランスを取ろうとすることを指します。足踏み方略とは股関節や足関節を動かしてもバランスが取り切れない場合に一歩足を踏み出すことを指します。

解説されてみるとそんな事かという感じがしますが、先ほどのスケートリンクの例では足首を動かすことが出来ない(ブーツを履いて固定されている)ため、主に股関節の運動を用いてバランスを取ることになりますね。ですが日常生活においては些細な足首の運動でバランスを取れる場面が多く、普段使用している運動が制限されることでスケートリンクに慣れていない人はさらに不安定な動作となり、全身の力を使って転倒しないようにするという反応になるわけです。

 ここまでの要素をまとめてみると、不慣れな人がスケートリンクで歩こうとする→不安定な場所であると予測し理解する(視覚)→足を乗せてみると予想通り不安定だった(前庭で頭がどの方向に揺れているか確認)→その場で転ばないようにとどまる(股関節方略)→転びそうになる(筋力を使って耐える)→何度か繰り返してやっと一歩踏み出す(足踏み方略)という流れになります。

 いかがでしたでしょうか。今回はバランスという単純な言葉を色々な要素から深掘りする形で解説させて頂きました。いつにも増して内容が盛りだくさんになってしまいましたが、ここまで読んで頂いた皆様にはバランスとは何なのかというものを理解する1つの参考になればと思います。最後まで読んで頂きありがとうございました。

 Basis~からだのメンテナンススタジオ~ 新田

参考引用文献

1)細田 多穂,柳澤 健 他:理学療法ハンドブック 第1巻理学療法の基礎と評価:協同医書出版社:606-607.: 2010.

2)中村 隆一,齋藤 宏 他:基礎運動学 第6版補訂:医歯薬出版株式会社:368-369.: 2012.

山下 敏弘(Yamashita toshihiro)
山下 敏弘(Yamashita toshihiro)
理学療法士
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