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「肩こりについて」

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 「身体を整えて」から「動く」ことで「コンディショング、ライブパフォーマンス」を高め、快適な毎日を過ごせるように、セッションをご提供しています。

・本記事から得られるもの、理解できる事

〇「肩こり」について、ある程度理解できる

〇食事の重要性が分かる

〇呼吸について、理解が深まる

それでは始めていきましょう!!

<そもそも肩こりとは?>

医学大辞典によると、肩こり(Stiff neck and shoulder)の定義とは原因を問わず、僧帽筋を中心とした肩甲帯筋群のうっ血・浮腫により生じた同部のこり、はり、こわばり、重圧感、痛みなどの総称とされている。

これだけでは、何を言っているのか全く見当がつかないと思います(かく言う私も同じです)なので私なりに文章をかみ砕いてみると、①原因がはっきりしない②首~肩にかけての痛みやハリ、重たさがあるものを「肩こり」とします。

逆に言うと、原因がはっきりしているものは肩こりでは無く他の病名がつけられるとも言えます。

<肩こりの頻度>

2019年、2022年に厚生労働省で調査された病気やけが等で自覚症状のある者(有訴者)のデータから見ると男性・女性ともに1位が腰痛、2位が肩こりと自覚症状を感じる頻度は高い事がうかがえます。

<肩こりでどこに行くのか?>

実際に当施設を利用されている方に、話を聞いてみると肩こりで病院に行く人はほとんどいませんでした。利用者さんから良く聞くのは整体や鍼灸院に行ってマッサージや針、電気をかけて貰ったことがあるという話をよく聞きます。ですが、整体や鍼灸院に行ってみても次の日には肩こりが元に戻っている。でも行くと楽になるから何度も通うという繰り返しになっている方も多いことが分かりました。

<肩こりの分類>

肩こりの分類はザックリ分けると2つに分類することができます。①本態性②症候性になります本態性とは、基礎疾患がなく何らかの原因があるものの、はっきりと診断がつけられない肩こりを言います。症候性というのは、何らかの疾患が原因で起こる肩こりを言います。症候性の主な疾患としては、整形外科的な椎間板ヘルニア、胸郭出口症候群など。内科・外科的な心筋梗塞、狭心症など。眼科的な視力障害や眼精疲労など。精神的なうつ病やパニック障害などが挙げられます。

<肩こりの原因>

1 筋肉の内圧上昇+神経の絞扼・伸張性低下

2 交感神経の関与

3 慢性的な呼吸状態の悪化

以上の3つが相互に関わることで肩こりが生じていることが多いです。それぞれを深掘りして解説していきます。

1 筋肉の内圧上昇+神経の絞扼・伸張性低下

・同じ姿勢を取り続けることや、運動不足により一部の筋肉への負荷が高くなる

・負荷が高くなったことで、筋肉の過剰な緊張状態が持続し筋内圧が上昇し血管が圧迫される

・血流不全が引き起こされ、筋肉を支配している神経の絞扼・伸張性低下が生じる

現代社会においては、スマートフォンやパソコンなどのデジタルデバイスが発達しデスクワークなどで同じ姿勢を取り続けることはもちろん、日常生活においてもスマートフォンなどを長時間利用することが増えてきました。そうすると最終的には神経の絞扼・伸張性低下まで引き起こしてしまいます。

2 交感神経の関与

・ストレス

・日常生活

・睡眠不足

以上の要素が崩れてくると交感神経が過剰に働いた状態になってしまい、交感神経が優位になることで血管収縮作用が高くなることで血流障害を引き起こしてしまいます。

3 慢性的な呼吸状態の悪化

・横隔膜を使用した呼吸ができない

・努力性呼吸になる(鼻呼吸ができない)

・筋肉の血行不良が起こる

以上の要素は姿勢とも相互に作用しますが、呼吸状態が悪化することで体内の低酸素状態が生じ、努力性呼吸を使うことで一部の筋肉の過剰使用から筋内圧の上昇などから肩回りへの負担が増大してしまいます。

<肩こりへの対処方法>

肩こりの原因が分かったところで、シンプルに自分でもできる安全な方法をまずは実践してみましょう。

1 食生活を改善する

2 正しい呼吸へ変えてみる(口呼吸~鼻呼吸へ)

3 同じ姿勢を取らない

4 副交感神経を活性する

1 食生活を改善する

当施設を利用している方の中にも肩こりでお困りの方は多いですが、よくよく話を聞いてみると食生活の乱れを抱えている方が非常に多いと感じます。体の不調があるとまずは運動が大事というのは皆さん理解されているところだと思いますが、それと同じかそれ以上に食生活や睡眠も体の不調を改善するために必要であり大事なことが多いのです。

この食生活の改善は個別性が高いため、この食品だけ取ってもらえば体調が改善しますというほど簡単なものではありません。ですがこれだけは意識して変えた方が良いということはあります。それが何かというと、「3食しっかり食べること」です。

こういうと、「そんな簡単なことで良いのかな?」と思う人もたくさんいるのではないかと思いますが実際に3食しっかり食べていますという人が少ないと現場では感じます。

例えば、朝が苦手で食欲もないから何も食べないorスムージーだけ飲んで職場まで移動する。そうすると、昼はとにかくお腹が空いてしまうので外食にしてご飯と油物を中心にしっかり食べる。夜、家に帰ったときに昼は食べ過ぎてしまったから炭水化物を取らずにおかずだけにしてゆっくり身体を休めよう。このような生活習慣の方がこの記事を読んでいる人の中にもいるのではないかと思います。

当施設を利用している方にもお話しを聞いてみると、「朝は食べないかなー」とか「昼は仕事も忙しくて、菓子パンを食べるぐらいです」など色々な食生活の乱れが聞かれます。そのため、簡単なことのように見える「3食しっかり食べること」から変えていくことが肩こりなどの不調を改善する最初の糸口になることもあるのです。

先ほどまでの例の方で言えば、まず朝ごはんをしっかり食べると言っても食欲がなくて量が食べられないのであれば、高エネルギーであるヨーグルトなどの乳製品やバナナなどのフルーツをスムージーに追加して摂取する。(もし可能であれば、ハチミツなどをスムージーに追加しても良いでしょう)夜も昼が食べ過ぎたとしても取らなくて良い理由にはなりませんので、お茶碗1杯の白ご飯とお味噌汁それから納豆などの簡単なものでも良いので摂取する。このような形に変更していくことが1つの例になります。当施設では血液検査の結果なども踏まえた個別性の高い栄養指導を行っていますので、もし興味のある方はご連絡いただければと思います。(レッスン中でも質問にはお答えできますので、お気軽に質問していただければ嬉しいです)

2 正しい呼吸へ変えてみる(口呼吸~鼻呼吸へ)

正しい呼吸と言われても、何が正しい呼吸なのか分からないという人が大半だと思いますので、簡単に説明すると「運動中を除いて鼻呼吸を行うこと」が正しい呼吸の第1歩になります。これも聞くとそんなことはもうできていますという声が聞こえてきそうですが、もう少しだけお付き合いください。

鼻呼吸ができているかをチェックする方法があるので、いまこの記事を読んでいる人は画面の前でぜひやってみてください。1.口から息を吐ききる2.鼻から息を吸って指で鼻をつまみ止める3.次に息を吸いたくなるまでの時間を計測する。この3つで正しい呼吸ができているかを確認できます。①40秒以上苦しいと感じない②20秒前後で苦しいと感じる③10秒前後で苦しいと感じるという基準があります。

大前提として、チェックが終わった瞬間に深呼吸するぐらいの状態になっている場合は我慢のし過ぎでNGのため再度チェックしてみてください。①に当てはまる人は呼吸状態に問題はないため、肩こりの原因としては他の要素を考えていきます。②に当てはまる人は少し呼吸過多の状態であるため、改善する必要はあるがまだ良い状態。家で出来る呼吸エクササイズを適宜行ってみてください③に当てはまる人は呼吸過多状態。呼吸改善が必須であり、運動することが逆効果になる可能性もあるため、まずは簡単な呼吸エクササイズから取り組む必要があります。

家でもできる簡単な呼吸エクササイズは脇の下・お腹の横・胸の前に手を置いて(手を置いたところが膨らめばGood)、鼻から息を吸い込む→息を止める→口から息を吐き切る→息を止める→鼻から息を吸う。これを繰り返し3セット行ってみてください。注意点として、①鼻から息を吸い込むときは空気の音が聞こえないこと②それぞれの動作を5秒間かけること③息を吸うよりも、吐き切ることを意識してください。簡単な呼吸エクササイズとはいうものの、はじめてやると苦しさを感じると思いますので、3セットやるつもりで初めて途中で息が乱れてきた場合は無理せず徐々に3セットできるように進めていきましょう。

特に注意点の①に手こずる人が多い印象がありますので、解説させていただきます。現代の日常生活では息を過剰に吸いたい状態に陥っている人が多いため、空気の音(すきま風のような)が聞こえるケースがあります。その場合は息を強く吸っているため適切な呼吸にはなっていません。そのためすきま風が入るような強い呼吸からそよ風or無音でも呼吸ができる必要があります。

また呼吸エクササイズは交感神経の働きを抑制し副交感神経を活性化する作用もあるため、肩こりの要素となる副交感神経への効果も期待できるため基準に当てはまらなかったとして取り組んで損はないです。副交感神経の活性については、また後日の自律神経についての記事で深掘りさせていただこうと思いますので、楽しみにお待ちください。

参考引用文献

1)日本整形外科学会:よくある病気 4.肩こり

2)Itoi E, Arce G.Bain G.: Shoulder Stiffness: Current concepts and Concerns.:Springer, Heiderberg2015.

3)2022年国民生活基礎調査の概況. pp.17

4)Bain, G.I., Clitherow,H.D.S.: The Pathogenesis and Classification of Shoulder Stiffness: Shoulder Stiffness.

5)Sugaya, H.: Imaging of Stiff Shoulders.: Shoulder Stiffness.

6) 佐々木和郎:肩こりの定義およびメカニズム. pp.362

7)Simona Dragan, Maria-Corina Serban et al.: Dietary Patterns and Interventions to Alleviate Chronic Pain: Nutrients 2020,12(9),2510.

8)パトリック・マキューン:トップアスリートが実践人生が変わる最高の呼吸法.かんき出版

9)Dina Hamed Hamed, Filip Struyf et al: Efficacy of combined strategies of physical activity, diet and sleep disorders as treatment in patients with chronic shoulder pain. A systematic review: Chronobiology Volume14 2023.

10)栄養コンシェルジュ 講義内容より

11)栄養の力 講義内容より

山下 敏弘(Yamashita toshihiro)
山下 敏弘(Yamashita toshihiro)
理学療法士
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